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毛利俊夫の観光夜話  >>  No.4 観光地の宣伝塔は役に立つか (2010年2月16日)


 多くの温泉地でその入口に大きな宣伝塔や看板が立っているのに気がついた人は多い。これらの構築物は往々にして大きく目立つが、周りの環境からはかけ離れたものが多く、美的感覚は全くないものがほとんどである。それ以上に判らないのが、これら宣伝塔や看板の目的である。

 これら看板等の目的を明確に示した資料はないが、おおよそ以下の二つに集約できる。一つは、その温泉地を目指してきた観光客に「目的地はここだ」と示すことであり、二つ目の目的は、偶然に通りかかった人々に、「ここにも温泉地があるぞ」といって誘致することであるようである。

 このような目的は至極もっともなように聞こえるが、考えてみると多くの看板は上記の目的を全く達成することができないのではないだろうか。

 第一の目的である目的地を示すためには温泉地の入口ではなく、主要インターチェンジの近くなどにあって初めて役に立つのである。一つの大きい宣伝塔などではなく、ゴルフ場の標識のように規模は小さいが主要交差点などに数多く設置したほうが役に立つはずである。

 第二の目的の点はそもそも看板や広告塔をみてふらりと温泉地を訪問し、宿泊場所を探す顧客がどれくらいあるのだろうか、ということである。温泉へ泊ろうと思う人は、ほとんどが自宅を出発する前に予約をしてくるはずである。

 このように目的も効果も判らない観光地の宣伝塔であるが、これと対照的に非常に効果があった宣伝塔の例として、長崎オランダ村が東京の赤坂に作ったオランダ船の事例をあげることができる。もっとも誘致したい顧客は首都圏だ、として赤坂に作ったのであるが、プロジェクトの成否は別にして、宣伝塔の役割をよく理解したマーケティング戦略であったと評価することができる。

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