毛利俊夫の観光夜話 >> No.7 ネット販売が伸びる意味(2010年4月1日)
No.7 ネット販売が伸びる意味
近年は様々な産業においてネット販売が大きな伸びを示しており、売上高や収益力などで業界地図が大きく塗り替わろうとしている。このようなネット販売の出現とそれに伴う様々な変化は、マーケティングの視点からは、商品・サービスおよび情報の流通に革命的変化が起きていると表現することが出来る。
マーケティング戦略は大きく3つの要因から構成出来る。①ある顧客層に、②商品・サービスを、③どのように提供するか、であり、ネット販売は③の提供手段である。ここで注意しなければならないのは、商品・サービスの提供とは、販売以前の情報提供や販売後のアフター・サービスまで、広範囲に含むということである。ネット販売に係わる人の多くは、販売時点のネット利用には熱心であるが、販売の事前・事後のネット利用には無頓着であることが多い。ネットの利用がいまだ不十分であると言えよう。
さて、ネット販売の利点を販売する側から説明することは多いが、顧客の視点からその利点、あるいは問題点を体系的に説くことが少ないようである。ネット販売といえども販売側にとっては、新たな効率的な販売チャネルの出現に過ぎないが、それでも業界構造を変えるほどの影響力がある。しかし、顧客にとっては商品・サービスの選択の幅が革命的に拡大したのであり、極端な言い方をすれば、商品・サービス、その売主、買うタイミング、さらにはそれらの情報、等がグローバルに、そして時間の制約なく手にすることが出来るようになったのである。
ネットの時代では、販売側の立場ではなく、顧客の立場に立った思考形態をとることが出来るかが成功の鍵であるといっても言い過ぎではないが、重要なのは一つの正解がないということである。「顧客の選択肢の拡大」とは、同じ顧客でも時と場合により異なった選択をし、選ぶのは顧客であるということを販売側は認識することが必要である。
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